2014年9月28日日曜日

ニコンD750を見て新ジェネレーションを考える

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量販店に立ち寄るとニコンのブースの前にオッサン達がたむろしていて近寄れない。オッサン達の中心にはニコンから新しく発売されたD750が置かれている。オッサン達は店員にあれこれと質問しては大笑いしたり、お互いの肩を叩き合ったりしている。

D750を触ってみたいけれど順番を待っていたら日が暮れそうで、仕方なくカタログだけでも貰ってこようと近づいたら、オッサン達の話す言葉はどうやら中国語のようで彼らは観光客のようだ。政治家たちは中国ケシカランと騒いでいるけれど、ニコンのブースの前では和気藹々と日中友好である。政治家なんぞよりカメラのほうが日本の外交に貢献しているという例ですね。

さて、そのニコンの新型フルサイズ一眼レフD750なのだけれど、ウェブ上に現れた沢山の作例を見たり紹介記事を読んだりすると、ニコンもいよいよ新しいジェネレーションに入ってきたのだなぁと思わずにはいられない。あくまで僕の勝手な想像なんだけれど、旧世代のデジタル一眼レフカメラはDfあたりまでで、D4SやD810あたりからは方向性が変化してきたような印象を受けるのである。

D750 SHOOTING REPOERT (フォトヨドバシ)
Nikon D750 (kasyapa)

ふと気が付くと、ニコンには今フルサイズデジタル一眼レフカメラが5機種もラインナップされている。頂点にD4Sがあり、次にD810、D750、D610、そして傍流にDfである。キヤノンでさえ3種類しかないというのにニコンのこの元気のよさというか、怖いもの知らずというか、一体どうしたことだろうと驚いてしまう。経営状態について色々な噂がのぼるにしては滅多矢鱈と傍若無人で切り捨て御免で一刀両断御免なすってなのである。僕のように外野席にいる無責任な者でさえ、大丈夫なのかと心配になりつつもっとやれと背中を蹴飛ばしたくなる勢いである。

さてD750である。最初このカメラはD610をリプレースするものだと思っていたのだけれど、そうではなくD610はこのまま併売される予定だという。つまりD750はD810とD610の間に置かれる中級機という位置づけとなる。つまりニコンは頂点のD4Sクラスは別として、800番代、700番代、600番代の3つのラインを持つことになる。どういう訳か700番代だけ750といきなり番号が飛ぶのだけれど、これは将来のランナップを予告しているのかもしれない。

僕がD750の仕様を見て、ニコンも吹っ切れてきたなぁと思ったのはその動画性能である。実はD810に於いてニコンは動画を一生懸命にやったようで、これまで動画はキヤノンという定説を覆す結果となっている。下記記事は「ニコンのD810の動画性能はキヤノンEOS 5D Mark IIIを超えた」と題されたショッキングな記事である。英語サイトだけれど、そこにある動画サンプルを見るだけでも「ニコン頑張ったなぁ」と思わずにいられない。

Nikon D810 video quality leapfrogs Canon 5D Mark III (EOS HD : Andrew Reid)

そうはいっても、動画撮影時の使い勝手やアクセサリー類(特にサードパーティ製)などを考慮するとまだまだキヤノンの方に一日の長があるだろうけれど、今後はこの分野でも両社は対等となるのだろう。

D750では動画撮影時には外部メモリーを利用することで無圧縮データの保存を行える。4Kではないけれど、現在では充分な画質を得ることが出来る。たぶんD750の無圧縮動画データの品質は劇場クォリティだろう。つまり、映画館の大画面においても充分に鑑賞できる品質だということだ。これまでAVCHD規格の縛りの中でヨシとしてきたニコンからは考えられないことで、まさしく大きな跳躍が行われた。これまでこんなクォリティを有していたのはキヤノンとパナソニックだけだったのである。これはきっとニコンのイメーセンサー供給元であるソニーの方針が転換したためだろうと思うのだけれど、そうした大人の事情は兎も角、ユーザーにとっては歓迎すべきことだろう。

そうした目でもって次にD750の静止画のサンプルをよく見ると、これはローパスフィルターが付いているというのにローパスフィルターレスのようなシャープネスをもっている。最近は画像エンジンの性能も飛躍的に上がったようで、以前ほどローパスフィルターの有無に拘らなくてもシャープな画像を得ることが出来るようになったのだけれど、D750の場合は更に鮮明感が増した印象である。イメージセンサーも新設計したらしいし、いやぁ凄いことになりました。

勿論中級機ということもあって、シャッターの耐久性は15万回と程々に抑えてある。ちょっと脇道にそれたことを書くけれど、シャッターの耐久性というのはそのままカメラの耐久性に直結する項目である。フィルムカメラの時代は、シャッターの耐久性を2倍したものがそのカメラ自体の耐久性と考えられていた。シャッター耐久性10万回のカメラは、約10万シャッターを切ってシャッターを交換し、その交換したシャッターを使い終わる頃にカメラの寿命が尽きるのである。だからD750の耐久性はシャッター耐久性20万回を謳うD810より約2割強低い。まあそんなこと一般には関係ないことなんだけれど。

このD750の完成度を見ると、これからデジタル一眼レフカメラというものは一体どう進化していくのだろうと思う。今後も一層の高性能化と低価格化が行われるのだろう。それが行き着く頃には、またブレイクスルーとなる新しい技術が開発され、新世代のカメラが現れる。それがどこから出てくるのか定かではないけれどカメラオタクとしては楽しい限りである。

ニコンの新ジェネレーションを見てそんな気分になりました。


撮影地:奈良県大和郡山市
Sigma DP2 Merrill
Sigma Photo Pro



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