2014年12月31日水曜日

大晦日にカメラオタクが考える2015年の動向

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2014年も最後の日である。ブログなどというものは、年末にはその一年を総括するような記事を載せることが多いようだけれど、ここではそんなことお構いなく通常運行である。ちなみに長い間ブログ更新をサボっていたことも、まるでなかったかのように素知らぬ顔をして書くのである。このブログを読む人ならそのくらいのことを気にしてはいけない。そんなことが気になるのであればこのブログを読んでいてはいけないのである。(もちろん開き直っている)

さてデジカメWatchというサイトに、日本のカメラメーカー各社の開発責任者インタビューなるものが掲載されている。聞き手は写真家の田中希美男氏で、これはデジタルカメラマガジンという雑誌に掲載された記事をウェブ用に再編集したものであるようだ。雑誌を買わなくてもこうした興味深い記事を読むことが出来るというのは大変嬉しいことで、僕も興味深く読んだのである。

デジカメWatch インタビュー 「2015年はどうなる?」

ここにはキヤノン、ニコン、ソニー、オリンパス、富士フィルム、リコーイメージング(ペンタックス)、パナソニック、シグマの計8社のインタビューがある。ざっと読んだ感想をまとめると、当たり前のことだけれどどこも口が固く、なかなか本音を出さないのである。

一方でリコーイメージングのようにペンタックス製のフルサイズ一眼レフカメラの登場を匂わせるような発言もある。但し、こうした発言というものは計算されたものであって、フルサイズカメラ後発のペンタックスがアドバルーンを上げて読者の反応を伺う、所謂マーケティングリサーチのような意味合いが強いのだろう。こんなことを雑誌で喋るということは、ペンタックスは迷っているのだ。ペンタックスも長い間経営状態が不安定だったのが、リコーによる吸収合併を経て、そろそろその成果がハッキリとしてくる時期となる。2015年はいよいよ勝負の年だろうと思っている。

キヤノンは巷間噂されている高画素機の登場があるのだろう。ネットの無責任な噂では、それは5,000万画素を超えるセンサーを搭載すると云われている。この画素数の根拠は、EOS 7D Mark2のセンサーピッチのままフルサイズ面積に拡大すると5,000万画素を少し超えるくらいになるからだという。何となくさもありなんと思える噂なのである。

キヤノンにせよニコンにせよ、フルサイズとAPS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラを揃えているメーカーというものは、どうして二種類のセンサーサイズを持ったカメラが必要なのか、筋の通った理由付けが必要である。顧客に分かりやすいというだけでなく、開発者自身にとっても夫々の製品の方向性がクリアになるからだ。こうしたクリアネスがないと、いずれ製品は混沌とし始め、機能からデザインに至るまで混乱混濁し始めるものである。

基本的な流れを見ると、フルサイズは高画素化、そしてAPS-Cサイズのカメラは高速化を極める方向へと向かうのだろう。僕はEOS 7D Mark2の登場をみて、今後APS-Cサイズのセンサーを積む一眼レフカメラは高速でなければ意味がなくなるだろうという思いを強くした。一般にフルサイズに比べてセンサーサイズが小型であるAPS-Cサイズの一眼レフは、望遠レンズを多用するスポーツ撮影や野鳥撮影のような用途に向くというのだけれど、そんなものはフルサイズカメラで中央をクロップすれば事足りる。それよりもデータ量が少なくて済み、センサー周りも小型化できることによって、カメラの動き自体を高速化することほうが向いているだろう。

ソニーになると混沌化が既に始まっていて、一眼レフカメラなのにEVFを搭載していて、しかもミラーレスカメラにも注力しているという、一体何をどうしたいのか方向性が分かりづらくなっているように感じる。先のインタビューにおいて、一眼レフカメラの優位性として各社が挙げる光学ファインダーの見やすさを犠牲にしてまで得たものは何だったのか、誰にもわからない状況に既に陥っているのである。ソニーという企業は本業の家電の分野でも、時々こうした自己混乱にはまるのだが、デジタルカメラでもそうなってしまったねえといった印象である。

ソニーはα7シリーズというフルサイズセンサーを搭載したミラーレスメラが話題で、これを売りたいという気持ちが先走っているようなんだけれど、レンズ屋の話を聞くと、このα7シリーズのEマウントは呪われたマウントと呼ばれているようで(笑)、本来APS-Cサイズのセンサー用に作られた規格をそのままフルサイズに転用してしまったせいで制約が多く、このマウントでのフルサイズ用レンズの開発は捗らないだろうと陰で言われているそうだ。こうした話を聞くと、ソニーに最も必要とされているのは長期的な視野なのだと思う。技術力は他のメーカーが束になっても敵わないものがあるのだから、惜しいことだと思うのである。僕は今からでも遅くないから、一眼レフカメラは光学ファインダーを再設計して搭載するべきだと思うのだがどうだろうか。

富士フィルムのインタビューを読んで驚いたのは、中判カメラをきっぱりと否定してしまったことである。富士フィルムのカメラ作りというものは、伝統的にプロ向けの機材が多かったのである。但しここでいうプロというのは、町の写真館などで撮影をされている職業写真家の皆さんである。七五三や成人式などの撮影をする際、富士フィルム製カメラが使用される確率は大変に高い。また現在でも証明写真を撮影するカメラから仕上げまでのシステムなども富士フィルム製が市場を席巻しているように思う。僕は中版デジタルカメラの潜在的顧客を最も多く持つのは富士フィルムだと思っているのだけれど、富士フィルム側としてはAPS-Cのセンサーで充分でしょうということなのかもしれない。

オリンパスとパナソックというのは共にマイクロフォーサーズという規格でデジタルカメラを作っているのだけれど、その製品づくりは大きく異なっている。オリンパスが昔ながらのカメラのイメージを強く意識しているのに対して、パナソニックは動画分野の一つといった対し方である。センサーやレンズの画質を単純に比較するとオリンパスが圧倒的に支持されることになるのだが、そこに動画撮影という係数が入ると立場は逆転する。パナソニックのGH4などは、これから動画を本格的に始めたいという人や、或いは助手を付けないで撮影業務を行うプロたちに圧倒的な支持を得ている。この二社のカメラを比較すればするほど、どちらも欲しくなってしまうので大変である。

最後にシグマなのであるけれど、ここは山木社長が登場している。上記各社より規模の小さな会社であるから経営トップがそのまま企業の顔となる例である。ここでの発言は山木社長らしく 率直なものである。要はフォヴェオンセンサーのフルサイズ化は要望は多いけれど、会社の規模としてそんなものに賭けるのはリスクが大きすぎて難しいというものだ。またDPシリーズのレンズ交換マウント化やズームレンズ化は明確に否定している。まあそうだろうと思う。一方でSD1 Quattroに関してはそう遠くない将来に発表されそうである。その時デザインが変わるのかどうかはここでは分からないけれど、DPシリーズのような尖ったデザインを採用できるのであれば是非やって欲しいと思うのである。

さて急ぎ足で各社インタビューの感想を連ねてきたけれど、来年の今頃ははてさてどうなることやらとまた楽しみにしているのである。それまでブログを続けることが出来たらならば、また色々と書いてみましょう。

そんなわけで今年はありがとうございました。
来年もまたよろしくお願い致します。


撮影地:奈良県大和郡山市
Sigma DP2 Merrill
Sigma Photo Pro



3 件のコメント:

  1. 今年もよろしくお願いします。
    こちらも天災のように極たま~にお邪魔してます・・・最近は天災があちこちで頻発してますが(笑)

    さて、この記事、私も拝見しました。仰るようにこうします、ああします、とは言えないでしょうし、それぞれの立場もあって難しいでしょうね。我々一般ユーザーは出て来る商品を自分の価値観と照らし合わせて購入するかしないか、決めざるえを得ないので私自身は基本、待ちの姿勢です。

    ソニーさん、そうですね、自分はCONTAXという文字が入ってSONYという文字が完全に消えれば物はどうあれ買っちゃいそうです。LUMIXも素敵なんですが、PANASONICという文字が買わない理由(口実)になってます(笑)

    そんな感じで今年も購買についてはネガティブシンキングで行こうと思ってます(笑)

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    1. コメントをありがとうございます。

      メーカーの開発者や広報の方々はやはり組織での立場というものがあり、組織のために仕事をすることが優先されるわけで、このようなインタビューでは言いたくても言えないことが多いのだと思います。ただし、聞き手が注意すると、何かシグナルのようなものがあって、本当はこう言いたいのだろうなと感じることもありますね。今回の聞き手である田中希美男さんによると、例えばシグマの山木社長などは、実はもう少し突っ込んだことを話されていたようですが、編集でカットされた様子です。まあ、私たちユーザーとしては色々と想像を巡らしながら、こうした記事を読むことも楽しみの一つですね。

      Panasonicのカメラに関しては、旧ミノルタの主要設計陣がこちらに流れたこともあって(噂ですが)、自分は旧ミノルタっぽいフィールがあるように感じておりました。段々とこなれてきて、今のカメラは正真正銘のPanasonic製だと言えますが、ミラーレス一眼レフカメラの黎明期のPanasonicカメラは正に感覚がミノルタでした。色々と面白いですね。

      今年もゆるりと更新を続けます。またよろしくお願い致します。

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    2. こんばんは 初めまして

      仕事に余裕が出たので、初めてのデジⅠです。CONTAXから乗り換え。レンズは共用。α7IIです。今日はContaxRTSにエクターを詰めてα7II と2つもってレンズ4本で撮影に行こうと思ってました。

      EVF心配したけど、いいです。絞り込み測光ですから、深度も見える。暗いレンズでも増幅するからファインダーが暗くならない。CMOSに映る情報がそのまま見える。画面拡大もできますから、MFレンズにとっては天国。それにCONTAXのファインダと同じくらいに美しく、CONTAX と違ってピンの山が見えるんです。欠点は動きものでカクカクすることでしょうか。これはわたしには関係ありませんが。

      Eマウントも内径はKマウントやニコンと同じだそうで、光学的な問題はありません。大口径Eレンズはソニーはたくさん予告していますし、ソニーとは無関係にツアイス本体からも高価なMF単焦点がたくさん出ました。ソニーは今後Eマウント中心で行くのではないでしょうか。ストロボ周りは既にミノルタ規格をやめました。

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